所属

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター、
肝炎•免疫研究センター、
ゲノム医科学プロジェクト
〒272-8516
千葉県市川市国府台1-7-1

アクセス・連絡先

下遠野 邦忠  [客員部長]
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター、
肝炎•免疫研究センター、
ゲノム医科学プロジェクト
〒272-8516
千葉県市川市国府台1-7-1

電話:
81-47-375-4742 (ext 1435)
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ファックス:
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lbshimotohno@hospk.ncgm.go.jp


研究内容

HCVの感染者は世界で約1700万人、HBV感染者は約3000万人と推定されています。HCVは感染して高率にC型慢性肝炎を引き起こすが、その後肝硬変を発症し肝がんを発症しやすくなります。感染に伴う持続的な炎症が肝障害の増悪化を進める傾向があると考えられています。

HCVが培養肝臓細胞を不死化させるという報告は今のところありません。また、HCV感染に由来する肝がん組織にはHCV遺伝子が存在しない場合が多いので、HCVそれ自身が腫瘍性の維持には関与していないと考えられます。むしろ発がん過程の初期に働いて、向腫瘍性環境を作る働きを持っていると考えられます。向腫瘍性環境の構築にHCVの持続的な感染がどのようにかかわっているかを明らかにすることにより、HCV感染による肝がん発症の理解が進むと期待しています。

食事の摂取過多による肥満に由来する脂肪肝患者は肝疾患を発症やすいといわれています。一方、HCV感染者には脂肪肝の発症が多く見られます。両者の間での肝疾患の増悪化が同一の機序によるのかは明らかでありませんが、脂肪多過によるという共通性があるのは注目すべきです。もしかすると、脂肪代謝が向腫瘍性環境を作る働きと関係するのかもしれません。HCV感染がなぜ脂肪肝を発症しやすいのかは不明ですが、最近の研究からウイルス増殖には脂肪滴や脂肪の細胞外への放出機構が必要であることが明らかになってきました。このようなことからHCVの感染により惹起される「持続的な炎症」と「宿主の持続的な脂肪代謝変化」が向腫瘍性環境の構築に重要である可能性が考えられます。

以上のことから私たちは(1)ウイルスの持続感染を遮断する、(2)HCVによる脂肪代謝活性化の機構を明らかにする、および(3)ウイルス感染による炎症を引き起こす要因を明らかにするなどして、感染者からのウイルスの排除法、および肝疾患の予防法を確立したいと考えています。

HBVは最近新たなテーマとして取り入れました。HBV感染初期反応を理解して、その過程を阻止する事によるウイルス感染制御研究を行っています。蛍光遺伝子をゲノムに組み込んだウイルスを構築して、それを用いた簡便な感染検出系の確立を目指しています。